マーケティングの考え方その1。

今回は、マーケティングのお話の続きです。
用語をダラダラ並べても頭には入らないと思うので、ケーススタディ形式で書いていきます。


例えばメーカーの場合。メーカーは商品を売って収益を得るのがお仕事ですね。
新商品がエンドユーザの手許に届くまでに、僕らクリエイターにどういう仕事があるのか。主なものを挙げてみましょう。

・商品企画
・キャンペーン企画
・パッケージデザイン
・ブローシャ、ダミーサンプル等の販促ツール作成
・店頭ディスプレイ作成
・キャンペーン実施
CRM*1リレーション

時系列で並べると大体こんな順番でしょうか。
ちなみに季節商品の場合、例えば秋物が店頭に並ぶのはお盆明けくらい。商品企画はだいたいその3ヶ月くらい前、つまり今がちょうど提案時期なわけです。
大きなキャンペーン、またノベルティや景品を仕掛ける場合はもっと前から動いています。例えば僕の携わっているものにも、昨年末にはキャンペーンの景品サンプルが出来上がっていたものがあります。まぁもちろん本番の時には、モノは変わっちゃいますけどね。イメージです、イメージ。


さて、この時系列の流れを取り仕切るメーカー側の担当者が、プロダクト・マネージャ(PM)とかブランド・マネージャ(BM)とか呼ばれる人です。メーカーや商品によっては商品企画/流通/店頭のそれぞれに担当者が別々に付く場合もありますが、その場合でもPMはちゃんと存在するはずです。企画からリテール(小売)のプロモーションまでトータルにプランニングするのであれば、一番仲良くなきゃいけない人ですね。
では実際に、あなたがメーカーさんに『新商品のネタはないかい?』と聞かれたとしましょう。
ここで『いやー思い浮かばないっス。てへっ』なんて答えようもんなら、もうそのメーカーさんはあなたに声をかけてくれなくなるかもしれません。ここはニヤリと不敵に笑い『余裕っス』と答えつつ、内心では死ぬ気で商品企画を考えなくちゃいけません。


さて、商品企画の第一歩。まずはブランディングから始めましょう。この「ブランディング」ってのは何かっつうと『ブランドを作る事』です。
あ、勘違いしちゃダメですよ?別に新規ブランドを立ち上げるっていう意味じゃないですからね。ココで言う『ブランドを作る』ってのは、その商品(企業)にオーラを纏わせるっていうか、エンドユーザが価値(ブランド)をその商品から感じるって事です。日本企業の多くは、CI*2を重視した展開が多いのが特徴です。企業イメージに重点を置いていますから、企業名=ブランド名というケースも多いですね。

準備段階 〜3C分析とSWOT分析

では、まず企業を分析してみましょう。
こういった分析には様々な手法・切り口がありますが、ここでは3C分析とSWOT分析について書いていきます。


3C分析。この3Cというのは

・自社=Company
・顧客=Customer
・競合他社=Competitor

の頭文字の事。ビジネス環境をこの3つの視点から考えると、大事な情報を見落とすことなく精度の高い考察ができる、とされています。この手法は、そのビジネス環境でKSF*3を抽出する時や、そのKFSに合わせて施策を立案したい時なんかによく使われます。これに費用=Costを加えると4C分析、文脈=Contextと協働=Collaborationを加えると5C分析になります。まぁ、3C分析が一番基本かつ有用なんですけどね。
まぁ方法としては、あまり難しく考えずに『自社はどんな会社か』『自社の顧客はどういう層なのか』『自社と競合するのはどういう企業なのか』といった内容をつらつらと挙げていくわけですが、このうち自社と競合他社の事を考える時によく使うのがSWOT分析です。あ、もちろん使わなきゃいけないってコトじゃないですよ?使いやすいと思われるので、よく使われているって話です。
このSWOT分析というのは、企業の

・強み=Strength(企業の持つ優位性)
・弱み=Weakness(企業の抱える弱点)
・機会=Opportunity(周囲の社会環境の中で、企業にとってのメリット)
・脅威=Threat(周囲の社会環境の中で、企業にとってのデメリット)

の4つの軸から分析する方法です。
やり方としては、例えば紙を四分割し、左上に強み、右上に弱みを、左下に機会を、右下に脅威をつらつら挙げていきます。そして、その中で左半分の要素が多ければ積極的攻勢に出るべき、右半分の要素が多ければ専守防衛もしくは撤退、対角線の斜め右(/)方向の要素が多ければ段階的な施策、斜め左(\)方向の要素が多ければ差別化戦略が適している、という風になるので、これを見て大雑把な戦略を立てるわけですが、今回の分析の場合は『企業がどういう状況にいるのか』という事を知るために実施するという意味合いが強いのです。
この分析を行った上で、どういった商品をどういった相手にどういった方法で攻めれば勝てる確率が高いかを考えるわけですね。


今回はこの辺にしておきます。続きはまたいずれ。

*1:Customer Relationship Management。会員登録などを用いてエンドユーザとの全てのやり取りを一元管理する方法。

*2:Corporate Identity=コーポレート・アイデンティティ。社名orブランド名・ロゴマーク・キャッチコピーの3つを基本要素とする、企業がもつ特徴や理念を簡潔に表したもの。

*3:Key Success Factor=鍵となる成功要因。